【長編】FOUR SEASONS

「優華、おいで…。」

孝宏が手を引き、あたしの目線くらいはある大きめのツリーの傍へつれてきた。

部屋を彩るこのツリーは今朝あたしが飾りつけたものだ。

何をするのかと不思議に思って見ていると、孝宏はツリーにかけてある飾りを一つ外し手に取った。

クリスマスデコレーションの小さなプレゼントの箱。

あたしが飾りつけた筈なのに、この包みには記憶がない。

「ちゃんと指輪も用意したし、これで優華は正式に俺の婚約者だから。」

「はぁ?指輪って…婚約指輪?高校生にそんなもの買えるハズ…。」

「バカにすんなよ。俺を誰だと思ってるんだよ。一応そこそこ稼いでるモデルなんだけど?」

……そうでした。