【長編】FOUR SEASONS

孝宏に目で問いかけると孝宏はあらかじめ聞かされていたのか涼しい顔をしている。

どう言う事よ?当事者のあたしに何も言わずに婚約って!!

ニコニコ笑いながらあたしの手を取る孝宏に一言文句を言おうとした時だった。


「優華約束したよな。誕生日に婚約してくれるんだったろう?」

「…っ!」

そう言われてしまうと言葉もない。困ったように周囲を見回すと、孝宏のお義父さんもあたしのお父さんも苦笑しながらも笑ってみている。

これって…パパ達もすっかりママ達に言いくるめられているって事かしら?

「おじさん。優華が卒業したら俺達が結婚する事許してくれませんか?
絶対に幸せにするって約束します。
今はまだ結婚できる年でもないけれど、優華を想って来た年月の長さも愛情の深さも誰にも負けません。」

呆然としているあたしを余所に孝宏は真っ直ぐにあたしのパパを見詰めて言った。

揺るぐ事のない真っ直ぐな瞳で…。

「俺達の婚約を許可して欲しいんです。お願いします。」