「孝宏…たかひろっ!しっかりして。」
「…っくぅ…ゆう……か。大丈夫だったか?」
あたしの手に纏わり付いて流れていく赤い液体。
苦しげな孝宏の息づかい。
痛いのはナイフの刺さるはずだった胸ではなく
引き裂かれた心だった。
耳を劈くような佐知子先輩の叫びが周囲に響き渡る。
真っ青な顔をして駆け寄ってくるセルデュ先生へと助けを求めて手を伸ばした。
その手は真っ赤に染まっていて、出血量が半端でない事を語っていた。
お願い…
誰か夢だと言って
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