【長編】FOUR SEASONS

彼らの口から飛び出した佐知子先輩の名前に、驚きの余り目を見開く。

これには佐知子先輩が絡んでいるの?

だとしたら、単なるこの間の仕返しの嫌がらせなんかじゃない。

かなり計画的に仕組まれた復讐だ。

見たところ10人近くいる彼らを相手に喧嘩なんて、孝宏先輩がどれだけ強くても無事で済むとは思えない。

チャラチャラと金属音が鳴る鞄の中には、もしかしたら凶器が入っているかもしれないのだから。

逃げなくちゃいけないと思うのに、強く掴まれた腕が痛くて振り払う事もできない。
助けを呼んじゃいけない。

解っているのに…

それでも心は彼の名前だけを呼び続けていた。


助けて―――孝宏