【長編】FOUR SEASONS

あの時は孝宏先輩が助けてくれた。

だけど今は…

そこまで考えてハッとした。

全身から血の気が引いていく。

孝宏先輩の姿を探して駅の改札のほうを見て、その姿がまだ無い事に、自分の考えに確信を持った。

いつもならとっくに来ている筈の先輩が来ないのには、理由があるのかもしれない。

心配性の先輩が、理由も無く連絡もせず遅れるとしたら、その理由は一つだ。

たぶん、この人たちの仲間に足止めされているんだろう。

つまり、先輩がここへは来たくても来られない状況にあることも十分考えられる。

心が不安で暗く覆い尽くされていく。

怖い…

だけど先輩が来られない以上、ここは自分で何とか乗り切らなくちゃいけないんだ…

熱くもないのに、額を汗が伝っていくのを感じた。