【長編】FOUR SEASONS

いつもの待ち合わせ場所で孝宏先輩を待っている。

普段なら、あたしとほぼ同時に待ち合わせの場所に来る先輩が、今日は少し遅れているようだ。

珍しいな…。

駅のホームを見つめ、先輩の姿を捜している時だった。

「ねえ、君…あの時の娘だろう。俺たちのこと覚えてる?」

聞き覚えの無い声に不思議に思って振り返ると、そこには数人の男子生徒が立っていた。

「あ…あなたたち…。」

他校の制服を着た男子生徒が数人、薄笑いを浮かべている。

その内の二人には見覚えがあり、明かにあたしに何らかの含みを持って声を掛けたと一目で解った。

二人のうちの一人は、夏祭りの夜あたしを無理やり連れて行こうと、腕を掴んだ人だった。