「孝宏…ちょっと時間もらえるかしら?」
俺を呼び止める聞き覚えのある声に、反射的に振り返る。
一瞬眉が苦々しく寄ったのが自分でもハッキリと分かった。
「佐知子…何の用だよ。
俺に話すことなんて今さらねぇだろう?」
「随分冷たいのね。
孝宏には無くてもあたしにはあるわ。」
「……また優華に手を出したら、許さないからな。」
「あらあら、随分と執着してるのね?
どんな女にもなびかなかった沖崎孝宏が、あんなネンネにコロッと堕ちてしまうなんて情けないわね。」
「ふん、おまえには関係ないだろう。
俺、急ぐんだよ。用があるならさっさと言えよ。」
「ふふっ。誘いに来たのよ。
もう一度あたしと寝ないかと思って。」



