【長編】FOUR SEASONS

さて、そうは言ったものの…どうしようかな。

『好き』って言わせるのも良いけど、この人混みの中で優華からキスをさせるって言うのも悪くないかもなぁ。

うん、『スキ』か『キス』かの選択は優華に任せる事にして、二つの内どちらかにバツゲームは決定だな。

優華の困った顔が浮んで思わす口元が緩んでしまう。

情けない顔をしていると言われようとも、自分の意志では自然に緩む表情筋をコントロールすることなんて出来なかった。

今朝もいつものように一番に列車を降りれるようにドアの前を陣取る。

優華の傍へと少しでも早く行きたくて、こうすることが一緒に登校するようになってからの習慣になった。


ドアが開くと同時に飛び降り改札口へと向かって早足で歩き出しだした。


そのとき―…


不意に誰かが制服の裾を掴んだ。