【長編】FOUR SEASONS


毎朝乗る同じ列車がホームに入る。

優華と待ち合わせの場所へと急ぐいつもと変わらない朝の風景。

彼女の乗る列車は俺より3分ほど早く着く。

俺が急いで列車を降りて早足で改札口へ行けば、大抵その辺りで優華を見つけることが出来る。

大概は人混みで立ち止まる事もできない為、俺たちはいつも駅を出てから、すぐ横にあるバスロータリーの前で待ち合わせる。

ここなら雨もあたらないし、優華が先に着いて待っていても駅から様子が見えるからだ。

2日前の土曜日、優華は結局俺との約束を守れずペナルティを27回も出してしまった。

「ええ~~ん、どうしよう。駅前で好きって言わなくちゃ駄目?」

ウルウルと俺を見上げる優華に一瞬揺らぎそうになる。

だが心を鬼にして冷たく言った。

「ダメ!約束を守れない優華が悪いんだからな。」