【長編】FOUR SEASONS

「あっ、あたし…着替えなくちゃ。先輩、後でまた…失礼しますね」

そう言って慌しく小走りに駆け出してみたけれど衣装が重くて思うように走れない。

思わずよろけて体が揺らいだ時、先輩が抱きしめるようにして、あたしを支えてくれた。

「あ･･･すみません。しょっちゅうこんな風に助けてもらってますよね」

苦笑しながら先輩を見ると、真剣な顔であたしを見つめていた。

心臓がまた全力疾走を始める。

先輩に聞こえるんじゃないかと思うくらいにドキドキと五月蝿く鳴っていて

白塗りの化粧の上からでも、顔が赤くなっているのが判るんじゃないかと思うくらいに頬が熱い。

お礼を言って先輩の腕からすり抜けようとすると、いきなりそのまま壁に押付けられた。

驚いていると、そのまま壁に両手をついてあたしを腕の中に閉じ込めてしまった。