ようやく我に返り周囲が見えてくると、最初に視界に入ったのは客席に座る見知った顔だった。

…孝宏先輩

再び沸き起こった大きな拍手に、ハッとして現実に引き戻される。

舞台の袖に入っても、先輩の顔が頭から離れない。

先輩は信じられないものを見るように私を見つめていた…

私の中の醜い嫉妬の部分を、先輩の前に曝け出してしまう形となった事を後悔した。

先輩は私の踊りを見て何か感じたのだろうか。

私を見てどう思っただろう。

私の気持ちに気付いただろうか…。