孝宏先輩が幼なじみの彼女だけを想い続けているのなら…

心配してくれる優しい気持ちを逆手にとっても奪ってしまいたい

例え卑怯といわれても…あなたが欲しい

あなたを彼女の元へは行かせたくない

あなたが好き

あたしを見て

あたしを愛して

先輩…

あたしだけの男性(ひと)になって…



意識は完全に清姫に同化していたと思う。

それくらいあたしは…

先輩の想い人に嫉妬していた。

蛇となり、道場寺の鐘にまきつき安珍を焼き殺す。

情念の炎が、安珍を想いで包み込む。

心が……清姫と同化する…

鐘の上に登り自分の身長より遥かに高い位置で見得を切る※。


拍手が沸き起こり唄が終わりを告げ、拍子木が鳴り響いた。



(※見得を切る…歌舞伎や日本舞踊で決めのポーズをとる事)