トントンと軽い音が聞こえる。 「失礼します」 「あぁ」 「先生、第5オペ室に来て下さい」 「わかった、すぐ行く」 仕事をする誠也は、すごくカッコイイと思う。 きっとモテる。 「バイバイ」 「あぁ」 誠也は珈琲カップを持つ手が絵になると思うくらい、珈琲をいつも飲んでいた。 「誠也」 「ありがとう」 あたしの声は とても感情のこもった声だった。 病院の個室にしてはきっとすごく広い静かな午後、あたしの声が響く。