総長の看板を背負う限り、2000人をほっぽって、自分を担いでくれてる仲間をほったらかして女に構う訳にはいかない。
でも、これから春花が向かう場所はなんとなく察しがついた。
だから気付けばハンドルを右に回していた。
「春花っ」
ゆっくり歩く春花に近付いた。
「どうしたの?」
無表情に俺を見る春花。
「お前、後ろ乗れ」
春花の細い折れそうな手首を掴む。
「え?」
「俺の女だろ?」
「うん」
「なら乗れ」
「意味分かんな…」
言葉を言い終わる前に乗せた。
走らせてからも、なんで?どこ行くの?と繰り返してた。


