「じゃぁ」 「おぅ」 過去のことかもしれないけど、俺はまだ、この話しをされると電源ボタンを切る手が震える。 「礼……?」 まだ居たのか、と言うように春花はまた白いワンピースを着て、日傘をさして立っている。 「日傘…?」 「うん、気分」 「どこ行くの?」 「ただの散歩だよ?」 そういって春花は何も変わりなく笑う。 寂しそうな瞳で笑う。 「そうか」 俺はバイクに跨がる。 「じゃあな」 そう言って走らせる。 本当は行き先までついていってどこに行くのか見届けたいけど そんな場合じゃなかった。