「キスなれてねぇの?」
拗ねる春花が可愛いくて笑いながら言うと、少し寂しそうにして
「キスはね」
そう言った。
確かに"は"と言った。
なんに馴れてるんだ。
って聞きたかったけど下手に聞いて春花に寂しい顔をされるのは嫌だった。
俺は馬鹿だけど何も分からない超鈍感野郎って訳でもないから、大体は分かった。
『あたし、ここで働いてたの』
そう言った春花の青ざめた顔も妙に鮮明に覚えていた。
「春花」
「ん?」
「明日も見舞い来る」
「…うん」
「なに?」
そう言って立ち去ろうとしてもシャツを離さない春花をもう一度見る。
「あたしのこと好きって、本当?」


