ガラス戸を開けて幹部以下の面子でうめつくされた倉庫を足音を立てて歩く。
「礼」
だだっ広い倉庫の半分くらいしか来ないけれど
女の声に顔をあげる。
「……春花?」
清楚な白いワンピースでなく、真っ黒の、冬の夜空よりずっと黒いドレスを着ていた。
髪も黒い髪を金に近い茶色にして、まるで夜の蝶だと主張するかのように見えた。
「…ぁたし、礼が想ってるような奴じゃないよ。あたし、弱くなんかない。病弱なお姫様なんかじゃない」
バイクをいじる面子達が一気に春花の方を見る。
「…綺麗」
「礼さんの女だろうな」
「マジいい女」
全ての声を掻き消すように俺は言った。
「言われなくても知ってる、馬鹿」


