「言え。これは俺への宣戦布告だ」

「馬鹿じゃねぇの。美葉は礼と敵なんだもん、そんなんじゃない」

「“黒蝶”の奴らは美葉と俺がつるんでるの知ってる」

美葉を見ると、下を向いて泣いてた。

顔を見せないように。

「礼、あんた…わかってんの?」

「何をだよ」

美葉は本当、強いようで弱い。いや、強いようで脆い。

「美葉と礼は仲間じゃない」

「仲間だよ。敵なんかじゃねぇよ。敵なのは“黒蝶”と“武舞”だ、馬鹿」

「ありがと、だけど悔しい。くそ悔しい。美葉なんか総長失格だ。やっぱ所詮女なのかな」

昔から、美葉は“女”であることを嫌がった。

昔から知ってるんだ、喧嘩は男の方が有利だって。