「礼は綺麗なのに」
「ん?」
「あ、気にしないで、独り言。そうだ、昨日もバイク乗せてくれなかった」
無理矢理に話題を変えると、礼は優しく笑う。
「だから、春花が元気にならないとだめなんだろ?」
馬鹿じゃないの。
ううん、礼は馬鹿じゃない。
分かるはずない。
あたしが不治の病だなんて。
「礼、そのころには会えないよ?」
そう、あと4日の約束だもんね?
「…春花さぁ、彼氏いるの?」
「いないけど」
「好きな人?」
「いないけど」
「じゃあなんで?」
きっと礼は忙しい。
あたしは会話途中でふと思った。
礼は総長なんだから。


