「だから、俺が治療する」
真剣な表情の医者。
「誠也、もういい。あたし治る気なんてない。残りの人生を楽しみたいの」
「こいつに何言われたんだよ」
医者と春花が喧嘩をする間、俺はない頭で考えた。
春花は治療できない病気。そして寿命が少ない。
だから残りの人生を楽しみたい……。
彼女は間違えでなくそう言っていた。
「うざい、出てって」
「春花!……今日は帰る」
医者はそう言ってドアに手をかけた。
「あたし、重いけど軽い病気なの」
「なにそれ」
イマイチ分からない。
「とりあえず病気なの」
「うん、分かる」


