「礼?」
「あ?」
「礼はね、それでいいよ」
あたしは礼の背中に手を回して
礼の胸に顔を埋めた。
「礼は、多分ね、何時も通りの礼じゃないと駄目なの。……何時も通りの礼は、人を笑顔にさせるの」
「俺、苦労させてばっか」
「違うよ、礼。…あたしね、礼が見舞いに来た時は、正直ストーカーかよって思ったけどね?でもさ、元気貰ったの。…馬鹿だから、礼。一緒に居て面白い。…貴方が居なかったら、生きてない。……最期までちゃんと、生きられなかった」
「生きられなかった?」
「うん、毎日に色がついた。…礼に出会うまでちゃんと笑えなかった」
礼の手を握って、目を見て言った。
「全部全部、礼のおかげ。……だからね?礼、あたしは礼に幸せになってほしい」
「春花、泣いてる?」


