「だけど、それでも一緒に居るのは、好きだから。春花が」
「礼……」
「お前ばっかり過去話してんの、馬鹿みてぇだから俺のも聞けよ」
「うん」
礼はあたしを抱きしめて口を開いた。
「俺さ、妊娠させたことあんだよね、中2のとき。…俺は、相手のこと大事だったけど、恋愛感情じゃなかったから、相手はそれを知って、黙っておろした」
「うん」
「俺、なんもしてねぇ、自分のせいなのに、結局傷つけただけで、そのうえ、相手に俺が傷つかないように気を使わせた。……でもそれ、余計重いんだよな、正直」
「礼……」
いつもの馬鹿なのにただ強気な礼と違って弱気だった。
「俺、今もそいつと普通に仲間でいることしかできねぇ」


