「全部奪ってくの、お姉ちゃん。…ううん、勝手にみんなお姉ちゃんが手に入れちゃうの。…あたしはお姉ちゃんとは違う。…馬鹿で勉強出来ないし、お姉ちゃんみたいに人付合い上手くないし、綺麗な喋り方だって出来ない。それに、お姉ちゃんみたいに美人じゃない、性格も、醜いの」
勝手に話しだしたあたしを礼は何も言わず受け止めてくれる。
「お姉ちゃんを殺したかった。死にたかった」
「あぁ」
「母親もお父親にも、お姉ちゃんしか必要なかったの。だって、なんでもあるんだもん。"ひとそれぞれ"とか、"あたしはあたし"とか、思おうとしたけど………結局、そんなの通用しないの。だって個性の豊かさも全部、お姉ちゃんが持ってるから」


