「違う〜」
「馬鹿」
「馬鹿礼」
礼は笑って、それからあたしを抱きしめた。
「ねぇ、好き」
「知ってる」
鼓動が暖かくて、泣きそうになる。
すぐにでも手から消えてしまいそうな大切ななにかは
もう半分、消え掛かっている。
「消えたらやだ」
「消えねぇよ」
「暴走族が嫌いだった。…お姉ちゃんはね?暴走族の男と付き合い始めてから、変わったの」
「あぁ」
「すっごい綺麗で頭よくて、性格良くて、みんなから好かれて、でも真面目すぎなくて、完璧だった」
「あぁ」
「あたしは、そんなお姉ちゃんが嫌いだった」
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