「じゃあさ、散歩、いかない?」 散歩? カッコイイというのは確かだけど、それよりも確かなのは族の雰囲気だ。 そんな裏社会のヒーローであり英雄は、散歩が趣味なのだろうか? 「フヘヘへ」 変な笑い声が零れて彼も笑う。 「フヘヘってなんだよ、ハハハ」 「だって、散歩って」 「病人だっていうから散歩がいいのかと思ったんだよ」 どの面下げて言っているんだか、目の前の“黒蝶”総長は相当天然らしい。