「礼、彼女出来たの?」
美葉のことが諦めたくて
美葉を昔と同じように
"仲間"でいたくて
俺は沙菜と付き合い始めた。
「沙菜っていう奴」
「へぇ〜、よっぽど可愛いの?」
「なんで?」
美葉はメイクびっしりの目をぱちくりさせてニヤニヤする。
「だって、礼が彼女にする女の子なんて、絶対顔が糞可愛い子だもん」
「……」
俺はおなじみのノンシュガーコーヒーを 飲む美葉を無言で見た。
俺は美葉好きで、美葉を諦めるために作った
美葉に似た女の子なのに、美葉はまるで人事だ。
美葉が気付くわけないんだから当たり前なのかもしれないけど
俺は無償に腹がたって
理性も失って
気付けば美葉の唇を無理矢理奪っていた。


