「美葉さん?」
美葉は他校の沙菜が知っているくらいこの近辺で有名だった。
「美葉はね、幼なじみだから。兄弟みたいな感じだけど、それでも俺は美葉が好き」
"美葉"という単語を吐き出すたびに心臓が焼ける。
「意味わかんない。兄弟みたいな感じの人、愛しても付き合えないじゃん」
「うん、餓鬼の頃から美葉にとって俺は弟だから、一生それは変わりそうもないけど。でも、美葉しか、考えらんない」
美葉は学校も行かないでレディースをやっている。
たまにギャル系雑誌に載ってはそれに憧れる奴が『美葉さんだぁ』なんて騒ぐ。
春斗も野球が上手いせいか、よく雑誌に載るけど
やっぱり美葉の認知度の方が上だと俺は思っていた。


