「さんきゅ」 笑顔でチョコレートとを受け取ると沙菜は頬を赤らめる。 「あたしと、付き合わない?」 言葉に指先を触れるように 優しく吐き出された言葉に 苦笑いした。 「ごめん。俺、大事な奴いるから」 「知ってるよ、そんなの。だけどそれでも沙菜は、礼くんが好き」 「だから」 だったらどうしろっていうんだろう。 俺は少しイライラする。 「あたしのこと、好きにならなくていいから。恋人でいて?」 「やだ。俺は、美葉を愛してるから」 感情の入らない声で俺はぽつりと一言もらした。