「だから、いつまでも仲間ごっこやってる訳にはいかねぇ」
「だからなんだよ」
口を開いたのは、自分の刺龍を触る藍だった。
藍は不安なとき、必ずそうする。
「決着をつけようじゃねぇか」
「春斗…藍は、それでいいよ。藍が暴走族になったのは春斗が居たから。仲間が出来たのも。だから…、春斗には幸せになってほしい。それが春斗なりの幸せなら、認める。でも一つだけ教えて。………なんで今なの?」
最後の一言はそれ自体が雲のようで、
久しく藍の声が震えていた。
「……ガキが出来た」
藍はわざわざそれを聞いた。
暴走族が仲間を捨てて変わろうとするときは
たいてい、誰かが"死んだ"か、警察絡みか、春斗の"それ"だ。


