「藍か」 藍にも電話をかけた。 『……うん』 「さすがに、今回は本番だ」 『分かってる』 「お前も行くぞ」 『分かってる』 「大丈夫だ、違う意味でも春斗と決着をつけてこい」 『あぁ、黒蝶女総長、黒木藍、出陣だぜっ』 ふざけ口調で藍は、軽快に言った。 バイクを走らせて、倉庫に向かう。 何も考えないで、ただ前を向いた。 「俺には重すぎんだよ」 一人ごとはタバコの煙のように空気に紛れて、見えなくなった。 何も考えない頭でふいに言った一人ごとは 誰の耳にも入らなかった。