病室のガラス戸をゆっくり空ける。 ケータイに入るアドレスから<美葉>の名前を取り出した。 『ん』 短い美葉の返事が聞こえたのはワンコール目だった。 「美葉、今から春斗のところに行く」 『もしかして、藍も?』 「あぁ、どうしてもあいつも必要だ」 『なんで?敵が多いから?藍のこと考えて。あの子は、誰より春斗を愛してたの』 「だからなんだよ。美葉、お前は勇矢(ユウヤ)を愛してたよな」 『あぁ、そうだよ』 「お前は勇矢と仲間、どっちを選んだ」 『あたしはっ……』