「礼と出会った時点であたしの寿命は、あと二週間だった」 「うん」 春花は眉を潜めて、泣きそうに話す。 「寿命が残り一週間をきったら、あたしは友達からも、親族からも、今まで関わった男からも……礼からも姿を消すつもりだった」 「なんで?」 「だって、嫌なの。あたしが"死んだ"っていう記憶がはっきり残るのが」 少しの沈黙が流れ、春花は床を涙で濡らした。 「礼の記憶で死にたくない」 「記憶の中で死ぬ?」 「完全に死にたくないから」 「………」