「ぜんぶ」 瀬田さんは口角をちょっと上げて 「表面上のことは、全部知ってるよ。名前、年齢、そして、帰る場所がないってこと」 と告げた。 「俺は、」 「君の、」 「救世主、なんだ」 アイスティーの氷が、カシャンと音をたてた。 そう、その音はまるで、懐疑心を壊すように、優しく、甘く、私を包み込んだ。