幼いころに両親が離婚してから、愛だとか、優しさだとか、そんな類のものは避けてきた。 「もう帰ってこなくていいから」 母親に言われた言葉が脳裏を過る。 「あんたの存在、迷惑」 だめ、だめ。 信じちゃいけない。 人間は人間を傷つける。 兵器よりもっとグロテスクに、誰にも治せない致命傷を与えるんだ。 そんなこと、分かってる。 分かってるけれど。