「っ…、ともっ…。」


目の前に現れたのは、幼なじみで茉雪さんの弟、智毅。
あたしとは、同級生。


あたしが、逃げてきた、元凶だったんだ。


「おい、沙耶。大丈夫か?」
「っ…、別に。」



差し出されたてを払って、あたしは立ち上がった。


いま、智毅と、話したくない。




「沙耶?」
「沙耶ちゃん平気?」
「平気です。茉雪さん。」
「おい、沙耶っ!」
「急いでるんで、じゃあ。」
「まっ、沙耶!!」




これ以上、ともを見ていたくない。
そう思ったあたしは、後ろから聞こえるともの声を無視して走り去った。