ガチャ―


「………」


いつものように無言で帰宅する。



だけど何かが違った。
いつもと違う何かが…

恐る恐るリビングのドアを開けると
そこにお兄ちゃんは居なかった。

居なかったことにホッとしていると
背中に痛みが走った。


振り返ると果物ナイフを持ったお兄ちゃんが立っていた。


「お、お兄ちゃ……」



「お前、要らないよ」



そんな言葉と共に斬りつけられた。

幸い傷は浅かった。
だけど制服は破けて血が滲んでいた。


「お前の顔、母さんに似てて
 イラつくんだよ」


そして腕を何回も斬りつけられた。


「や、めて……」



私のそんな言葉はお兄ちゃんには届かない。



「お前なんかが死んでも
 誰も悲しまないから」



「お願、い……。
 やめてよ…お兄ちゃん…」


声が震えないように言うけど
恐怖は隠せなかった。










するとお兄ちゃんが2階へ上がっていった。