「なにお前が泣いてんだよ」


そう言った宮下の目にもうっすらと涙が浮かんでいた。



「…ぅ、なんで宮下は…泣かないの」



私の質問に小さく笑って答えた。




「26の男が泣くなんてなぁ…。
 それに鈴香が泣いてくれたから俺は泣かない」



今、「鈴香」なんて…ズルイよ。



「昨日泣いてたじゃん…」



宮下はそうだっけ~、と言いながら首を傾げる。




そしてそっと私を抱き締めた。





「親がいないってことは
 どれだけ辛いか俺も解かるから、
 みんなの前では強がってていいけど、
 俺の前では強がるなよ…」


そう言いながら私の頭をポンポンッ叩く。



「何かあったらすぐ俺に言え。
 どこにいてもそばに行くから」





「…う、ん」






そう言って私にメアドと番号を教えてくれた。