「俺が中学2年になったとき、親が離婚した。小学生のときから喧嘩は毎日してた。
原因なんて解からなかった。お互い嫌になったんだろうなぁ…」
他人事のように話す宮下だけど、すごく辛かったと思う。
私だってそうだから…。
「母さんが出ていくときに、俺も来いと言ったけど俺は行かなかった。
母さんは家事とか出来るけど、親父は何も出来ない人だったから。
でも家に残ったことを後悔した…。
親父は酒に溺れ、女を家に連れ込む毎日だった」
私は何も言えず、ただ聞いているだけだった。
宮下は話していくうちにだんだんと表情を曇らせていった。
「俺は家に居場所が無く、家には帰らなかった。そしてそのときふと思い出した。
母さんが出て行くときに住所を教えてくれたことを。
俺は書いてある住所を訪ねてみた。
でも出てきたのは母さんではなくて、子供だった。
新しい家族がいるんだとすぐに理解した。
新しい家族と幸せに暮らしてると思って安心したのと同時に
何も頼るものが無くなって辛くなって、家を出た。
そして高1で一人暮らしを始めた。
一人暮らしも安定し始めて来た頃だった、一本の電話が掛かってきた。
その電話は親父の死を知らせるものだった」
「酒の飲みすぎだったんだとさ…。そのときは高3か。
あんなダメな父親だけど死んだと聞いてやっぱり涙が出たよ。
でもダメだったのは俺の方だ。俺が支えてあげるべきだったのに、
なにもしてやれずに家を出てしまった…。最悪な息子だよ…」
悲しそうに笑いながら私を見た。
その瞬間に私の目からは涙が零れた。
宮下はその涙を手で拭き取りながら話を続けた。
「ずっと後悔している。一生後悔し続けるだろうな。
北川はそんな辛いことを身に感じて過ごしている。
俺は暴力なんて受けなかったけど、北川は受けただろ。
家族からそんなことされるって本当に辛いことだよ…
でも耐えてきた北川は凄いって言い方は失礼だけど本当に凄いと思った」
「うぅ……」
宮下のほうがずっと辛いことを経験してきたのに…
私なんて本当に小さな人間だったんだ…

