二人は病院に着いた。 病院内は、病院独特のきつい臭いが立ち込めていた。 その臭いが海斗の鼻をかすめ、むせてしまった。 それでも構わず母は、受付へ急ぐ。 「あの…中田桜が今日運ばれたと思うんですが…」 母の言葉に、受付の女性がパソコンを少し弄り、そこの角を曲がった所の処置室です、と事務的な口調で答える。 母は軽く頭を下げ、海斗の手を掴んで小走りで処置室へ向かう。