こんな感じで話していたらあっという間に家にタクシーは着いた。

”もっと家遠かったらいいのに・・”

ちょっと美紗子は思った。

美『ありがとう、気をつけてね。』

つ『うん、またね。連絡もする。』

そう言ってタクシーは閉まった。

”連絡する・・”

ニヤけながら美紗子はまた濡れないよう小走りで家に入った。

美紗子は1人暮らしで街からは15分ほどの場所にあるアパートで4階建ての3階の部屋に住んでいる。

1つの階に2部屋しかないアパートだ。

間取りは1LDK。

一人暮らしにしてはちょっと広い。

部屋に入ってすぐにメイクを落としてお風呂に入り、ベッドの上でニヤけながらつよしの番号とアドレスを見た。

【山中 毅】

”山中毅って言うのか、毅って字、珍しいな。”

それから寝るまで今日のことを色々と思い出した。

でもどうしても1番多く思い出すのは話した数は少ない毅のことばかりだった。

”あーあ、一目惚れまたやっちゃったかな・・”

そう、美紗子は一目惚れをよくしてよく失敗していた。

前は合コンで出会った会社社長で28歳。

でも実はホストで少額ではあったが貢がされていた。

その次は職場によく来る印刷屋の人で31歳。

たくさんの夜を共にしたが実は結婚していて奥さんから怒りの電話がかかってきた。

最後は職場の取引先の人で24歳。

かっこよくて仕事のできる人だった。

数ヶ月付き合ったが、彼はいきなり美紗子の前から消えた。