「おつかれ、芹生」 「ああ…ベストセラー作家、小林秀宇の仕事場に来られてラッキーだったよ。…もうちょっと片付けたほうがいいんじゃない?」 「これぐらいが落ち着くのよ」 「…ふうん…、じゃ、悪いけど…、明日の朝、また来るよ。彼女心配だし、一応まだ金も払ってもらってないから」 「あ、わたしも」 振り返りながら芹生は小さく微笑んで、 「宿泊代ってことでいいよ、先生達は。いくら住んでる家が同じだからって、客の面倒まで見させてしまって、ごめんな」 そう言って、ゆっくりとドアが閉まった。