「仕事忙しかった?」 「…芹生のつくるご飯を食べにくる余裕がないくらいには」 「あはは、そっか。じゃあ、きょうは好きなもの沢山食べていきなよ」 嬉しそうにシュウが笑う。 知る人ぞ知るこの店は、普段からあまり客で賑わうことはないものの、リピーターといわれるような常連が途切れることなく集う。 いま、この時間にいるのは俺達だけだった。 ウィスキー一杯を飲む間に、シュウはビール、ワイン、ウォッカ、特製のカクテル、次々と酒を胃に流し込んでいく。 どれでも美味しそうに口にしてはグラスを空にした。