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翌朝、俺は木本さんに言われたとおり、約束の5分前に会議室をノックした。
すぐさま「どうぞ」と声が返ってきたのでゆっくりと扉を開ける。
「失礼します」
そこにいたのは、木本さん、編集長、そして星とヒバリ社取締役社長という錚々たる顔触れだった。
じわりと嫌な予感が広がる。
座ってくれ、と編集長に促されて腰を下ろす。
「忙しいのに、時間をとらせて悪いね」
「いいえ、とんでもありません」
慌てて頭を下げる。
社長の顔を見れば、随分と柔らかい笑みを浮かべていた。
「今日、君を呼び出したことに何か心当たりなどあるかな」
「…小林先生のこと、でしょうか」

