時刻は深夜3時。
客はシュウのほかにはおらず、どうやらひとりで飲みにきていたらしい。シュウの前に置かれていたのは。
「ギムレット…、」
「なに、…て、ぎゃあ!何飲み干してんのよっ!」
「うるさい。芹生、テキーラ2つ!!」
「…はいはい。って、怜、今度は酔いつぶれんなよ!」
差し出されたテキーラの水面に、どこか疲れた顔をした自分が映る。
それを飲み込むように一気に咽喉へと流しいれた。
ほら、とシュウにもテキーラを勧める。
シュウは不満そうな顔をしつつ、ライムを齧り、同じようにテキーラを咽喉に流し込んで少しむせた。
そのときだった。
カウンターの奥から、ひとりの男が顔を覗かせた。
「随分賑やかだと思えば、お客さんかい?」
「マスター、彼がそうですよ」
「…ああ、桐生怜二君か」
「て、おい!!!なにをあっさり!」
「大丈夫よお。マスターは、わたしが"小林秀宇"だということも知ってるし、薫子さんとも顔見知り。むしろこの町で身を隠すなら、マスターに色々相談すればいいよ」

