淡い光の灯る看板を見上げた。
"Bar Rokka Ballad"
ツタの這う、レンガ造りの小さな入り口から階段を下り、ブラックアイアンのドアハンドルを押して、店内へと入る。
「いらっしゃい…、て、怜!久し振りだね」
バーテンダーの芹生が、にこりと笑いながら言う。
初っぱなにテキーラで酔いつぶれたという失態から、妙に気まずかったのだけれど、芹生は少しも気にする素振りを見せなかった。
そして、よくよく見れば、カウンター席には既に見慣れたダサい女"小林秀宇"がいた。
「怜ちゃん、ハロー」
「この時間なら、Good eveningだろ」
「そういう細かいこという男は嫌いだよ」
そう言って思い切り舌を出してくる。

