Paradise Jack


「汚い手で私に触るな」

「怖気づいたか?そんなんじゃ、君程度の子はいつまで経っても表舞台には立てないよ、怜ちゃん」



"俺を誰だと思ってるんだ!"

思わず言ってやりたいのをグッと堪えた。
全然駄目じゃないか。そんなことを考える時点で、俺はちっとも自分を殺せてなんかいないのだ。

店員や近くにいたほかの客達がちらちらとこちらに視線をやっているのがわかる。こんな騒ぎを起こすなんて、ど素人じゃあるまいし、自分の軽率さに心底呆れた。

落ち着かせるように、そっと息を漏らす。
木本の手を払って席から立ち上がった。

財布から1万円札を抜き、カウンターへと置いた。


「お釣りはいらないわ」

「…おいおい、ここは僕が、」

「そんな筋合いないから」


レンズ越しに、木本を睨む。
すると、木本は少し驚いたような顔をして俺を見上げた。