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「・・・ぐえ」

「あは、潰れた蛙みたいな声がでた」

「な、なにそれ!・・・ていうか、ナナ重い!!!」

「シュウ、寝過ぎ。涎垂れてるし」


慌てて口元を拭う。

ローテーブルのうえには、ナナが古市で買ってきたDVDが大量に積まれている。

その中の1本を、スクリーン代わりの白い壁へプロジェクターを投影して2人で見ていたのだけれど、わたしはいつの間にか夢の国へと旅立っていたらしい。

既に、エンドロールがゆったりとしたBGMとともに流れていた。

ナナを押し退けたとき、3月の冷たい空気を纏っているのに気づく。よく見れば、頬も薄っすらと赤みを帯びていた。


「・・・どこか出掛けてたの?」