あたしの頭に響く、いつもの、お兄ちゃんの魔法……。


 いつもの……。




 どうして忘れていたんだろう?




 あたしはゆっくり目を開いた。



 お兄ちゃんは穏やかに微笑んでいる。


 お兄ちゃんが、あたしに魔法をかけていたの……?




「どうして……?」


 どうしてなの? お兄ちゃん……。



「亜季、愛してるよ」

 お兄ちゃんは、とても優しく微笑んでいた。