『お前、今日、兄貴は……?』


 トオルくんは、お兄ちゃんに怯えていたんじゃない。


 トオルくんは……お兄ちゃんが"居ない"ことに、怯えていたの?




 お兄ちゃんはあたしから彼氏を遠ざけようとしてた……?



 タカユキくんのようになる前に……?



 だから、いつもあたしを見張っていたの?



「ごめんね、お兄ちゃん……」



 あたしの目からは、涙がポロポロと零れ落ちる。


「……亜季を守りたかったんだ」


 お兄ちゃんが悲しそうに眉を下げる。