床に顔を押さえつけられながら、お兄ちゃんを見上げると、お兄ちゃんも違う男に後ろから羽交い絞めにされていた。




 頭の中が痛い……。


 痛い……。




「トオルみたいに、間に合わなかったね……」

 お兄ちゃんはもう何だか分からない、あたしを裏切ったモノに向ってポツリと言った。


「トオルくん……?」


 頭痛に耐えながら、お兄ちゃんの目を見ると、お兄ちゃんが目を伏せる。


「タカユキとこいつ以外は……俺が止めたんだよ……」



 お兄ちゃんが、あたしを止めてくれていたの……?